イケメンドクター襲来

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木村さんは定時に上がり他のメンバーと共に三村会へと繰り出して行った。 ふぅー、やれやれ。行った、行った。 私も処置は時間内に終わらせて、後に回した事務仕事を残業している。 やっぱり、人の分まで仕事をすると量が多いわ。 残りはこれを入力するだけっと。 「あれ、藤野さんは参加しないの?」 いきなり隣から声をかけられて驚いた。 「ごめん、びっくりした?今、藤野さんアニメみたいにビクッとしてた」 クスクス笑っているのはイケメンドクター周布先生。 驚いてどきどきしてしまった。 しかも、私の名前を知っているんだ。それも驚き。だって、全く接点無いのに。 「先生こそ。今日は三村会に行くんじゃないですか」 「今から行くんだ。ちょっと仕事が終わらなくて先に行ってもらった。で、藤野さんも今から?」 「私は行きませんよ。三村会って参加メンバーが限られているんです。ご存じないですか」 そこまで言ってそっと周りを見渡した。 今、ナースステーションには研修医と私の後輩ナースがいるだけ。 こうして周布先生と話をしているところはあまり見られたくない。 イケメンと二人で会話すると誰に何を言われるかわからないから。 高校時代のトラウマが疼き出す・・・。 「ふぅん、そうなんだ。残念」 何が残念なんだか知らないけど、早く行ってくれないかな。 「先生も早く合流した方がいいですよ。お疲れさまでした」 そう言って私は自分の目の前のパソコンに視線を戻した。 さぁ、いいから早くいなくなって。 「うん、行ってくる。お先に」 私の背中に周布先生は声をかけて出て行った。 はぁー、もう心臓に悪い。 ここ循環器の病棟だよね。私が循環器疾患になりそうなんだけどっ。 「ふ、じ、のぉー」 またいきなり後ろから声をかけられた。 「ねえねえ、イケメンドクターは何だって?」 「早川!……もしかして、見てた?」 「うん、廊下からチラッとね」 「三村会に行かないのか聞かれただけだよ」 「そっか。あんたも大変だね。ずっとスー先生のこと避けてるんでしょ。ちょっときれいだからってさ、女の世界じゃ立派な妬みの対象だもんね」 「いや、私は別にきれいじゃないよ」 「いやいや、中身を知らない人から見たら藤野は結構な美人だよ」 「はやかわっ、私の中身はどうだって?ん?」 怖い顔をして見せて、2人で笑う。 少し、気分転換になった。持つべきものは友だちだ。
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