嫌われ者の魔法使い

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王様は息をのむ。 魔法使いではない王様は何が起こったのか理解できなかったのだ。 「本当に国境に魔法がかけられたのか確認を!」 王様が大臣に命令する。 夜露は「対価を」と言ったが王様は「確認の方が先だ」と言い返した。 結果が確認されるまで夜露は自宅待機を命じられた。 王国と懇意にしていた魔法使いと騎士たちが国境付近に向かって魔法の効力を確認した。 魔法は確かにかけられていた。 国の外へ行こうとすると、いつの間にか、国境付近の元の場所に戻ってしまう。 魔法使い達は慌てて、札を作り始めた。 このままでは貿易も何もできなくなってしまうからだ。 夜露には誰も連絡をしなかった。 夜露には友も誰もいなかったから誰も彼に連絡しようと思わなかったのだ。 隣国の兵士は夜露の魔法で王国にたどり着くことはできなかった。 戦争は回避された。 けれど、その事実を喜ぶ人はあまりいなかった。 外からも中からも行き来が難しくなってしまった王国の生活を立て直すのに精いっぱいだったからだ。 夜露は少しずつ呪いに変わっていく魔法を抱えたまま、王国からの連絡を待ち続けた。 それがいけなかったのかもしれない。 何も言わない魔法使いはいつしか『迷いの森』を作った悪い魔法使いだ。と言われ始めた。 望まれて使われたはずの魔法はいつしか、迷惑で酷いものと思われるようになっていた。 それを使った魔法使いが王国の民から嫌われるのにさほどの時間はかからなかった。 結局この国に隣国の兵士は攻めてこなかったのだ。 本当に戦争がおきようとしていたかを民たちは知ることができない。 みな、意地悪な魔法使いが迷いの森を作ってしまったと信じ込んでしまった。 王様はそれをいいことに、夜露からの連絡を無視して、褒賞を与えることは無かった。
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