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第二話
扉が開くとそこから王冠をかぶった、60代くらいのおじさんとおばさんがでてきた。
「ようこそ、異世界へ。勇者候補たちよ」
「はぁ.....?あなたは誰ですか?」
突然部屋に入って来て、わけのわからないことを喋ってきたおじさんに俺は困惑の声を上げた。
「おぉ、失礼した。私はこの国の王エンガンス=ランバートと言う。こっちは私の嫁の「アン=ランバートです」」
隣のアンさんは、国王?に促されて自己紹介をした。
「あ、どうも初めまして。急な質問を許してください。えっとエンガンスさん、ここはどこですか?」
俺は王と名乗ったおじさんに、この世界のことを聞いてみた。
エンガストさんは、俺の質問を聞き入れこの世界について説明してくれた。
まず、この世界の名前は「エレスト」というらしい。
この世界では、人間、エルフ、獣人、ドワーフ、魔族という種族が住んでいる。
獣人族が住む、ミカド大陸。エルフが住む、フォレスト大陸。
ドワーフが住む、ホール大陸。魔神が住む、魔大陸。
そして、人間が住むエレスト大陸。
この5つの大陸に分かれて住んでいるそうだ。
その中の魔族で新たに魔王が生まれたため近年になって他の種族を襲って領土を拡大していっているから対抗するために、勇者候補を呼んだらしい。
次に俺は、勇者候補について聞いてみた。
勇者候補とは勇者になれる才能を持った人のことを表している。
で、その才能が最も高いものを召喚の儀式で呼び出し、能力を測定して勇者になれるかなれないかを見極めるということだ。
俺は今までの話を聞いて、一つ疑問が浮かんだ。
「もし、その測定で勇者になれないと判断された場合はどうなるんですか?」
「安心してくれ、今までもこのようなことがあったが召喚した勇者候補は全員勇者になれていた」
「じゃぁ、魔王を倒したら元の世界に戻れるんですか?」
俺は国王に向けて肝心な質問をした。
この回答しだいでは、この後のことが大きく変わってしまう。
「すまないが、もう君たちは元の世界に戻ることはできない」
「おい、それは理不尽じゃないか!!」
今まで黙って聞いてきた海道は急に声を上げて言った。
俺はびっくりしていた。大人しく話を聞いていた海道が声を上げて言ったからだ。
「本当にすまない」
「すまないじゃないですよ!!俺たちの人生を勝手に変えやがって!!」
「落ち着いて海道。怒ってもどうにもならないよ」
俺は海道に近寄って、気分を静めた。
「急に声を上げてすまなかったな、宗近」
「いいんだよ、ちょっとびっくりしたけど。それで、エンガンスさん。これからどうするんですか?」
「これから別の部屋に移動してそこで、君たちの能力を測らせてもらう。ついてきてくれ」
エンガンスさんはそう言うと俺たちに背を向けて歩き出した。
俺たちはその後を追って、最初の部屋を出た。
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