天職決定

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天職決定

 赤ん坊として転生して以来、俺は、今日のこの『天職』を授かる日をずっと心待ちにしていた。  女神様の願いとはいったいなんだったのだろうか。  その答えは、きっと今日わかるはずだ。  さて、俺の目の前にいる神父の様子に目を移すと—— 「なんだこの職種? カコウ? こんなの聞いたことないぞ?」  神父が驚きの声を上げている。  カコウとは何だろう? 火口だろうか火光だろうか? 多分火を扱うとは思うんだけど。まさか下降ってことじゃないだろうな。俺、日本でバンジージャンプをやった時、失神した悲しい思い出があるんだよな…… 「おっ、続きが見えてきたぞ。職種はカコウ職で、職業は、なになに…… ツクダニ職人? なんだそれ?」 「…………ツクダニ? あの、すみません神父様。今なんとおっしゃったのですか?」 「ええい、うるさい! わ、私にもよくわからないが…… とにかくお前は今日からツクダニ職人だ!」  ツクダニって…… きっと佃煮のことだよな?  じゃあ、カコウ職って、『加工職』ってことなのか? 「なんだよそれ!? なんで俺が異世界に来て佃煮の加工をしなきゃならネエんだよ!」 「無礼者! 口を慎め!」  顔を真っ赤にして神父が怒っている。  仕方ない。女神様の代弁者でしかない神父にゴネても、どうにもならないのだから。
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