吹奏楽部の小野さん

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吹奏楽部の小野さん

 でも、そんな記者会見なんて必要ないかもしれないな。  だって私は、普通の……ううん、普通よりちょっと地味な16歳の女の子。  ざ・校則のような、髪は肩に付かないくらいのおかっぱ。生徒指導の先生の文句もつけようのないこの髪型は、中学生からずっと同じ。しかも佳奈美のような美しいストレートでもない。ちょっとくせ毛だから、いつもどこかが全体の向きと違う方向を向いている。これでも一応努力はしているんだけど、どうにも全部が揃うことはない。毎朝ドライヤーをかけてブラシで整えるのに3分は時間をかけるけど、それ以上はもう無理だと諦めて、牛島君が迎えにくるまでに間に合うよう、慌てて支度をしている。   牛島君のように特に頭が良いわけでもなく、馬場君のように特に運動ができるわけでもなく。  あ、吹奏楽でパーカッションをやってるからリズム感はそれなりにいいと思う。でも、それだってそんなに秀でているわけじゃない。  少女漫画や小説が好きで、小さい頃はよく本を読んでたから、その所為だと母は言うけど、今、目が悪くてメガネをかけている。本当はコンタクトにしたいんだけど、毎朝の髪をセットするのに3分しかかけられない私。きっとコンタクトもちゃんと片付けられないだろうから、それは大学生になったときのお楽しみってことで……嘘です。面倒が勝っただけ。私にそこまでのしゃれっ気はない。  そして身長は157㎝。これだけは平均よりもちょっと上かもと調べたら、平均ビンゴでちょっと落ち込んだ。  落ち込んでた私を慰めたのは、にぎやかな父。 「落ち込むな。いいか、日向。世の中にはマニアという人が居る」  ふむふむ。 「マニアには色んな人が居る。おかっぱマニアとか、メガネマニアとか……。それで言ったらお前は、既に二つのマニアの萌え要素を持ち合わせているんだ。自信をもっていいんだぞ」  ……真面目に聞いて損した。  家族構成は、こんなにぎやかな父と、心配し過ぎて余計に大変にしちゃう母と、二つ下の中2の弟。  ごくありがちな4人家族。  まあ、こんな感じで……  私の名前は小野日向。ごく普通の女子高生は、ごく普通の高校生活を送り、ごく普通に過ごしていました。  でも、ただひとつ違っていたのは―――――。  ピロリン♪  あ、LIN○だ。  牛島君と別れて、夕飯、お風呂を済ませ、部屋着に着替えて学校の宿題していた時だから、時刻は21時近い。 (こんな時間に珍しいな。誰だろう?)  私は携帯の緑色のメッセージアプリ画面を開いた。
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