本当のさよなら

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『そうだね。でも、君と次に会えた時にもっと良い産婦人科医になっていたいから、つい頑張ってしまうかも知れないな』 七海先生はまた、ニコッと微笑んだ。 その笑顔があまりにも眩し過ぎて、私は、七海先生のこと、絶対に忘れたくないと思った。 『ダメですよ。無理はしないで下さいね』 『はいはい、わかったよ。君は本当にいい奥さんになるね。僕は…君を忘れない。ずっとずっと一生忘れないよ。藍花ちゃんは、僕の全てをかけて愛した女性だからね。例え、僕が誰かと結婚したとしても、君との思い出は…決して消えることはないから。じゃあ、ここで…』 先生はそう言って椅子から立ち上がった。 うん… 誰か素敵な女性と結婚して幸せになってもらえたら、やっぱりそれが一番嬉しいよ。 『そんな素敵な言葉を頂いて、申し訳ないくらいです。先生…お元気で…』 『藍花ちゃんも元気でね。またね』 『はい。ありがとうございます』 私達は笑顔でさよならした。 これで、本当に最後かも知れない… 七海先生、素敵な思い出をありがとうございました。 私は心の中でもう一度お礼を言って、先生と本当のさよならをした。
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