もうひとつの別れ

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『歩夢君のことも?』 『つらいです。あなたを好きな来栖さんを見てるのが。あなたに微笑みかけてるのを見たら…苦しいので。これ以上ここにいて、仕事に支障が出て迷惑かけるのも嫌なんです』 『…ごめん…なさい』 つらそうな春香さんの顔を見てたら、なぜか涙が出てきた。 『えっ…どうして?』 そんな私の突然の涙にびっくりしたみたいだった。 『ごめん、私、春香さんの気持ち…今なら少しわかるよ。つらいよね。好きな人が別の人を見てるのって。私もやっと本当に好きな人ができて、その人がもし…って考えたらやっぱり悲しいから』 『…』 『春香さんが歩夢君を想う気持ちが深いのはわかる。だからこそ私が許せないんだよね。でも…私にはこの状況をどうすることもできない。私は好きな人がいて、歩夢君のことは仲間だと思ってる。ただそれだけなの。私はこの仕事が好き。だから春香さんが辞めてしまうのすごく残念だよ』
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