あなたの魅力に気づく月の夜

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あなたの魅力に気づく月の夜

今日はまた…白川先生に注意された。 全然たいしたことじゃない。 それほどキツく言われたわけでもないのに、勝手に私が落ち込んで。 私だけが白川先生ににらまれてる気がして… 最近ちょっと憂鬱になってるかも。 中川師長に相談しようかとも思うんだけど、やっぱり言えないままで。 だって… 先生はもっともなことを言ってるだけだから。 私が強くなって成長すればいいだけの話。 だけど、苗字の呼び捨てはそろそろ止めてもらいたいな… 『邪魔』 『えっ!あ、すみません』 振り向くと白川先生がいた。 先生のこと考えてたから、かなり驚いた。 すぐに1歩横にズレたけど、でも、こんな広い廊下で別に邪魔にはなってないと思うんだけど… 『蓮見』 『は、はい!』 『お前、今日の夜の予定は?』 『え…予定…?』 『無いんだな。わかった。じゃあ今夜付き合え』 え? えっ!? 『あの…予定、まだ言ってません』 『無いんだろ?』 まあ、定期的に会ってくれる彼氏もいないし、確かに今日は無いんだけど…でも勝手に決めつけるなんてちょっと失礼。 『無かったら何なんですか?』 私は、白川先生の言い方が気に入らなくて、反抗的な返事をしてしまった。 『仕事終わったら、フラワーショップの前で待ち合わせ。いいな』 フラワーショップは、病院を出て数分行ったところにある。 そこで待ち合わせ? ん?どういうことだろう? 『あの、ちょっと無理やり過ぎませんか?急にそんなこと言われても困ります』 日頃の恨み? 私みたいなまだまだ新人の看護師が、外科医の白川先生にこんな言い方するなんて。 自分にちょっと驚く。 『黙って待ってろ。いいな』 え… 行っちゃった… 嘘でしょ? いろいろ勝手に決めて、待ってろなんて、めちゃくちゃ強引過ぎる。 まさか…私があまりにどんくさいからお説教されるの? ちょっと待って、もしかしてクビにされるとか!?
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