あなたの魅力に気づく月の夜

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言いにくそうにしてると、 『まあいい、歩くぞ』 白川先生は、そう言って黙って歩き出した。 私はとても横には並べなくて、少し下がって着いていった。 でも… 先生、いつもと歩幅が違う? 病院ではスタスタと足早に患者さんのところに行くから、私は着いていくのに必死でつい小走りになってしまう。 なのに、今日は私に合わせてくれてるの? そんな…まさかね。 『ここでテイクアウトしよう』 『あ、ハンバーガーですか?』 『嫌いか?』 『いえ、好きです。でも…これ、どこかで食べるんですか?』 『いいところがある』 白川先生と私が一緒にこれを食べるの? 本当に? 嘘みたいなんだけど… とにかく私達はハンバーガーを買って、また歩き出した。 『ここ』 先生が足を止めたのは、病院から歩いて7分くらいの場所。 そこは、幅はあるけど浅めの川が流れ、その両側が川原になっている。 土手を降りて、私達は広いスペースにあるベンチに腰掛けた。
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