あなたの魅力に気づく月の夜

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3人がけのベンチの真ん中にはドリンクが2個。 ちょっと暗いけど、今日は月が綺麗に出て、それが川面に写ってて…なんだか幻想的な風景だ。 時折、秋の風が優しく頬をかすめて… 体に当たる澄んだ空気が心地よかった。 遠くの方に目をやると、大きな陸橋をライトを付けた車が行き交っているのが見えた。 夜空に光る星がこんな綺麗に見える場所に、今まで足を止めたことがなかったから…もったいないことしてたなって思った。 『寒くないか?』 『はい、大丈夫です。すごく気持ちのいい夜ですね』 『ああ、そうだな』 白川先生は、袋からハンバーガーを取り出して私に渡してくれた。 まだ少し温かい。 『すみません。ご馳走になります』 『ハンバーガーで悪いな』 また…謝った。 今日の先生は、本当に別人だ。 もしかして双子とか? 入れ替わって私を騙してるのかも。 なんて、バカな想像をしてしまった。
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