あなたの魅力に気づく月の夜

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『あっ、白川先生もハンバーガー食べて下さい』 ずいぶん冷めてしまっただろう。 『その白川先生ってやめてくれ』 『えっ?どうしてですか?』 『俺には「蒼真」っていう名前がある。白川より蒼真の方が好きなんだ。だから蒼真でいい』 『そ、そ、そんなこと!呼べるわけないじゃないですか、何を言い出すんですか』 私はベンチの端のギリギリまで寄りながら言った。 『別に普通だろ。俺は「藍花」って呼ぶ。だからお前は俺を「蒼真」って呼ぶ。ただそれだけのことだ』 『それだけって…でも他の看護師はみんな白川先生って呼んでますよね』 もしかして私が知らないだけで、プライベートではみんな蒼真って呼んでるの!? 全然、白川先生の意図がわからない。 『俺が呼び捨てするのは藍花だけだ。だからお前も必ず蒼真と呼ぶこと。2人きりの時だけでいい。それくらい出来るだろ?』
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