あなたの魅力に気づく月の夜

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『わ、わかりました…』 『いい子だ。じゃあ、呼んでみて』 また私を見つめる白川先生。 綺麗な瞳… 吸い込まれそうだよ。 どうしよう、鼓動がまた激しくなる。 でも呼ばなきゃ… 『…そ、そ…』 ダメだ、言えない。 こんな恥ずかしい思い、初めてかも。 絶対、赤面してる。 『どうした?早く言ってくれないか。俺は藍花に、蒼真って呼んで欲しい』 もう、言うしかないよ。 『…そ、蒼真さん』 先生の言葉につられ、意を決して何とか言えた。 なのにすぐ、 『ダメだ、やり直し。俺を見て』 って、ダメ出しが。 そんな…目をつぶってたから言えたのに。 『でも…』 『言い訳はいい。早く』 もう諦めるしかないんだよね。 『蒼真さん』 その自信のない呼び方が、周りの静けさの中で恥ずかしく浮き上がった。 顔から火が吹き出しそうだ。
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