第2話

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第2話

「あら、とっても綺麗だわ!まさしく秋の妖精さんね」 「…ふん」 当日の朝。屋敷の正面玄関に立つと、そこにはすでに李音がいた。今日の牡丹は、紅葉が織り込まれた臙脂色の着物に、白い帯、琥珀色の帯留めに、レースの羽織をひっかけた、秋らしい装いをしていた。長く豊かな黒髪をまっすぐおろし、少し化粧も施された牡丹はまさしく朝露に濡れる秋薔薇のようである。 「李音様…、本日は牡丹様をよろしくお願い致します」 「ええ、任せて頂戴な。この子に不憫な思いをさせたりしないから」 李音が頷き、満面の笑みで答えると、霞は恭しく頭をさげた。 「いってらっしゃいませ、お嬢様」 何人かの侍女達が、霞と共に頭を下げる。牡丹は正面玄関の階段を護衛の手をかりながらくだった。視線の先では、運転手が車の扉を開けて、牡丹を待っている。 「さあ、行きましょうね」
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