第2話

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そう。牡丹は一度誘拐されかけたことがある。それ以来、護衛をつけることが多くなった。とはいえ、牡丹はあまり外に出ることはない。故に邪険に思うこともなかったのだが、今回ばかりは邪魔以外のなにものでもない。 「牡丹の言うことが聞けないのなら、お前はもういらない」 「……」 それはつまり、「クビだ」と言う意味だった。護衛もそれを理解して顔を青ざめさせている。 「それが嫌なら、李音達と共に行け」 事態を静観していた李音達が、護衛に対して頷いてみせた。すると、護衛はしぶしぶと牡丹に頭をさげて、李音達と共に次の展示場へと向かって行った。 1人きりになると、レースの裾を払って、先ほど見上げた画の正面に立ち、もう一度見上げた。
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