第2話

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(どうして、どうしてどうしてどうして) 絶え間ない問い。そして答えは返らない。あの男はもう牡丹のものではないのだ。だから焦燥感がぬぐえない。 「…っ」 喉の詰まるような感覚が牡丹を襲った。縋るような気持ちで、懐に入れられた紙を開けば、そこには消したはずあの男の携帯電話の番号が適当な字で書かれていた。 牡丹はそれをくしゃくしゃに丸めたが、結局、どこかへ投げ捨てることは出来なかった。
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