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乙女ゲームの始まり?
リュカとフィルマンの従者たちが率先して王子の護衛たちを抱え、現場がきれいになっていく。
アルハインは、複雑な顔をしながら自らの足で帰ろうとし、すれ違いざまに言った。
「……助かった」
それが、立場に縛られながら絞り出した、彼の善性だった。
今後どうなるかは、誰にもわからない。
だが、メリッサが本当の意味で、乙女ゲームの主人公に近づいたのは事実だ。これでよかったのだ。
わずかな寂しさを感じていた私に、メリッサは近づいてくる。
「ディオス様。助けてくれて、ありがとうございました。──もし、自由恋愛をするなら……私は、ディオス様がいいなって思います」
「は……?」
はにかみ、撤収作業の手伝いに戻っていくメリッサ。普通に考えれば告白同然なのだが、あの純真ちゃんは、ここに来ても主人公特性を発揮しているのだろう。
私を待っていたのは、乙女ゲーム的な皮を被った陰湿な世界……ではなく、本当に乙女ゲームなのかもしれない。
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