乙女ゲーム的な世界(仮)

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 諜報網を使って調べた結果、ゲームの参加者は5名とのことだった。    一人目は私、ディオス・カルヴァート。  外務大臣の息子であり、幼い頃から外交・諜報・権謀の渦に揉まれてきたやさぐれイケメン。私の転生前──すなわち入学直前は、メリッサが男とくっついた直後にかすめ取る算段をしていたらしい。クズだ。  二人目はリュカ・エインズリー。  娯楽産業が栄える地域一帯を持つ、領主の息子。天性の陽キャらしく、遊びと茶目っ気に富んだ美少年。直球でメリッサにアタックし、遊びつつ流れで……みたいなことを考えていたらしい。こいつも割とクズ。  三人目はフィルマン・コルネイユ。  神学校など研究・教育機関の最大派閥を牛耳るトップの跡取り。自身も頭脳明晰らしいが、学園では静観を貫いているらしい。情報網はどこよりも広いが、なにを考えているのか読みづらいメガネイケメン。クズかどうかは据え置き。    そして四人目が、次期国王とされるアルハイン・ラングフォード。  目が覚めるような金髪と甘いマスクというザ・王子様だが、実態は権力が服を着て歩いているようなやつだ。権益を守るためなら悪魔にもなる男で、王権をもってゲームを制しようとしている。クズの極み。    実に在校生の半数以上が、アルハインのシンパらしい。  公にはなっていないが、不祥事をいつでも揉み消せるよう教師陣は買収され、学園の敷地外には国王直属の兵士が多数闊歩している。  出来レースだ。  ゲームに勝利すれば正当性を得られるが、勝つのはアルハインでなければならない。さすれば王権の威信は強まり、偏執狂気味な王が言うところの『反乱分子』である自分たちは力を失う。  これは単なる狂王の戯れではなく、恋愛の皮を被った邪悪なゲームなのだ。    その証拠に……五人目の参加者となるはずだった軍部の要人──ヴァレリアーノ・グゼラは、入学前に謎の変死を遂げた。
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