49あっという間に夏休み

3/3
前へ
/207ページ
次へ
「それで、蒼紗の服は確認したとして、あの日までの出来事のおさらいをしていこうじゃない。蒼紗のことだから、また私たちに隠し事しているんでしょう?この際だから、洗いざらい話しなさいよ」 「そうですよ!ま、まあ、どうしても話せないということがあれば、無理にとは言いませんけど。でも、でも、私たちは親友なのだから、話してくれても、いいんです、よ」  服装の件で忘れてくれるようなことはなく、最初の話に戻ってしまった。どこから話していいものか迷うが、心配かけていたことは謝罪することにした。 「まず、大学を一週間も休んで二人に心配かけたことは謝ります。すいませんで」 『それは別にいいわ(です)』  なぜか二人に怒鳴られてしまう。息の合ったハモりに驚いていると、ジャスミンがため息をつきながら説明する。 「心配するのは親友として当然のことだから、そんなことは今更なのよ。私たちが聞きたいのは、休んだ理由。いったい、何があって一週間も大学を休んだのか、ということよ」  隣の綾崎さんがうんうんとジャスミンの言葉に大きく頷いている。  親友だから。  思わず顔がにやけてしまう。そうか、彼女たちと私は親友。親友だからこそ、心配してくれた。「親しい友」と書いて親友。いい響きである。ジャスミンの言葉を反芻していて、私の表情を見た二人が顔を赤らめていたことに気付かなかった。  
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加