50女子大生の会話

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「それがどうしたというの。たかだか大学生の一人が退学したことを、わざわざ私たちに話す理由は何?」  駒沢の言葉にいち早く反応したのはジャスミンだった。確かに、大学を辞める学生は一定数存在する。それをいちいち私たちに報告する必要はない。しかし、そんなことは駒沢だってわかっているはずだ。いったい、何を企んでいるのだろうか。 「佐藤さんの言う通り、残念なことに、大学を辞める学生さんがいることは事実です。しかし、彼女は、あなた方と親しかったでしょう?何か、退学の理由でも知っているのかと思いましてね」  今後の大学の授業で活かすことができればと思いまして。  最後の言葉は明らかに取ってつけたような理由である。どうやら、彼女の退学理由を詳しく知らないらしい。とはいえ、私自身も彼女の退学を知ったのは、隣に座る男の口からだった。隣から視線を強く感じるが、無視して無言を貫く。  もし、理由を知っていたとしても、この男には話したくはない。
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