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「綾崎さんは、駒沢先生と積もる話でもしていれば良かったんじゃないの?あのくそ男が好きなんでしょう」
「そ、それは……。いえ、それとこれとは話しが違います」
ジャスミンの怒った表情に綾崎さんは一瞬ひるみかけたが、きっと彼女を睨み返す。しばらく両者は睨み合っていた。
「ジャスミン、綾崎さん」
いつまでも二人をそのままにしておいても仕方ない。おそらく、私が勝手に席を離れたことで彼女たちは怒っているのだろう。私大好き人間は、こういう時面倒くさい。
私の声に二人はハッとした表情を浮かべ、私の方を振り向く。
「ご、ごめんなさい。蒼紗さんの姿が視えなくなったら、不安になってしまって」
「蒼紗は目を離すと、何をやらかすかわからないから……。ま、まあ、電話を勝手に切ったのは悪かったわ……」
「別に私は怒っていませんけどね。とりあえず、今から私の家に来ますか?話したいことがあるのでしょう?」
いったい、私はどんな表情をしているのだろうか。二人は急にばつが悪そうな顔をしてもごもごと言い訳を口にする。彼女たちが私のことに関して暴走するのは今更過ぎるので、怒っても仕方ない。怒ってもいないのに、そんなに怖い顔をしていただろうか。自分の頬を触るが、やはり鏡がないと表情はわからない。
二人と話しているうちに、また新たなことを思い出す。彼女たちに届いたいたずらの手紙を出した犯人について、彼女たちに話していなかった。ジャスミンからは少し話は聞いていたが、綾崎さんの口からはきいていない。向井さんのことはまた後日、改めて電話することにして、目の前の二人を家に招くことにした。
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