54いつもの日常の平和な光景

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 なんとも平和な光景である。幼馴染が亡くなり、その家族が組合に追われているというのに、私の周りはいつも通りの日常が戻ってきた。  向井さんに電話がつながらないまま、夏休みは過ぎていく。最初は心配していたが、徐々に彼女のことを考える日が少なくなり、荒川結女についても思い出すことはなくなった。  組合の代表と唐洲という男は、九尾がこの世から消滅させた。どちらの能力が荒川結女を死に追いやったのか、それとも別の人間がやったのかはわからないが、それももう、どうでもよいことだ。  組合が壊滅したことで、京都から西園寺家の残党がここに攻めてくるとしても、それは今すぐということはないだろう。私は夏休みを満喫することにした。
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