守りたいもの

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「……あかり」 千尋が布団で丸まって横になるあかりの耳元で声をかける。 「……お父さん……あかり馬鹿だから、かい君の事も助けられなかった。あかり馬鹿だから何も出来ないし……」 あかりは布団の中で体を震えさせる。 「馬鹿だって、何も出来なくたっていいだろ。お前が居なきゃ俺はもう死んでるよ。お前が生きているだけで、俺は良いんだよ。吉次も真実ちゃんもそうだ。悩む事なんて何もない」 「……えっ。死んで……」 あかりが布団から顔を出して、千尋の言葉に反応する。 「お前が居なきゃ俺は生きてる意味なんかない。この俺様にそんな事思わせるんだ。お前は誰よりも自信を持て! 」 千尋は畳の部屋に横になって足を組んで目を閉じる。あかりは千尋の顔を見ながら腕で涙を擦り、布団から起き上がる。 「この世の全ての人間に褒められるやつなんていないんだよ。何でも出来るやつもいない。たった1人でもお前の良さを知って、たった1人に愛されてりゃ人は十分だ。みんな欲張りなんだよ」 千尋は目を閉じたまま呟く。 「……お父さん……」 千尋は涙をボロボロとこぼすあかりの腕を掴んで、自分の体に寄せる。ぎゅっとあかりの体を抱きしめて、あかりの頬を自分の顔に寄せる。 「だからフラフラと変なやつについていくなよ。お前に何かあったら、あいつらぶっ殺してた」 「……だってかい君が……」 あかりが目に涙を溜めたまま顔を上げる。 「他の男の名前なんて言ってんじゃねーよ。俺の名前だけ呼んでろ」 千尋はあかりの顔を見上げる。千尋は体を起こして体を入れ替える様に、あかりの上に覆い被さる。 「お前は俺のもんだろ」 千尋はあかりの顔を指先で掴んで唇を重ねる。噛み付く様なキスをして舌を絡める。 「ん……」 「早く舌出せ。俺を求めろよ」 あかりは千尋の言葉に従って舌を出して、あかりは千尋の背中に手を回す。 「……良い子だな」 千尋は悪戯に笑みを見せて、あかりの首筋に舌を這わせていく。あかりの腕を掴んで布団に押し付ける。
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