迷惑をかけると言うこと

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「あれ? このバイク? 」 海斗の家の前には改造されたビッグスクーターが置かれている。 「あー。あいつらに借りてきた」 「翔の兄貴たちと随分仲良いんだな」 海斗は丸まっていた数日間を脱ぎ捨てる様に、背中を伸ばしながら大きく息を吸い込む。陽射しは額を熱くさせ、空気は冬の気配を感じさせる。 「俺様の怖さが身に染みて、ペンションの手伝いしたり陽まりの店前とかのゴミとか枯れ葉とか片付けてるんだよ。結局グレてる奴らは、する事がないせいでみんな悪さすんだよ」 「そんなもんなの? 」 海斗は千尋の話に耳を傾けながら、ビッグスクーターに置かれたヘルメットに目をやる。やんちゃなオーラを放つ派手な色合いのヘルメットに、海斗は思わず口を引き攣らせる。 「俺にとっては住みやすい町だけど、ここで暮らして行くには働く場所が限られてるからな。親族が店やってたり市場で働いてたら、そのままその職に就けばいいけど、そうじゃない奴らはこの町から出て行くか公務員になるか手に職を付けて、この町で生きていくものを見つけなきゃならない。だけど、それも出来ずに、町からも人からも弾かれた奴らは何となく生きていくしかない。 不安で、暇で、でも今さら何をして良いかも分からない。そう言う奴らもいるんだよ」 千尋がシートに置かれているヘルメットを1つ海斗に投げる。海斗に投げられたコルクヘルメットは赤く光沢のあるヘルメットで、ステッカーが貼ってある。
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