お節介な男

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「……付き合いでキャバクラに行ったんだ。そこで出会った。3ヶ月くらい前かな。連絡先を聞かれて……断りきれなくて教えたら、毎日の様に連絡が来た。メールで仕事の悩みとか聞く様になって、どうしても話を聞いて欲しいって外で会う事になったんだ。その時、結構お酒勧められて俺あんまり酒が強くないから酔っちゃってさ。気付いたら彼女の家に居て……朝だった」 「……その日にエッチしたの? 」 葉月の言葉に間宮は小さく顔を左右に振って、深く瞬きをする。 「……俺、酒に酔って目を閉じてて半分寝ている様な感じだった。体を触られたりしてたのは覚えてる。でも次の日、その……体の関係を持ったって言われて……俺……何てことをしちゃったんだと思って……それからしばらくして子供が出来たって言われたんだ」 間宮は小さく息を呑み込んで、誰も居ない向かいのベンチに目を向ける。コンクリートで囲まれた駅は太陽の光を受ける事もなく、ひんやりとして静けさが増している様だった。 「……本当、相変わらず優柔不断。何できっぱり断らないの? 悩み事あるからって何で2人きりで会うかな? 」 葉月が間宮を呆れた目で見て溜息をもらし、間宮の隣にどかっと座り直す。 「……いや……本当ばかだよな。耐えきれなくて死んじゃうとか言われてさ。話くらいならって……夜の仕事は大変みたいだから何か思わず……」 「本当にそう言うとこ! あたしと付き合ったのだって強引にあたしに言い寄られてたからでしょ? 付き合ってからもずっと手も出さないで。先生は結局、優柔不断で好きじゃなくたって誘われたら断れないんだよ」 葉月は額を押さえ、きつい口調で間宮に言葉を投げかける。
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