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「あっ、いや、そんな訳じゃないんだよ。いや、そうなんだけどさ……でも違うんだよ。いや……うんん。何でもない」
「はー。もう! ちゃんと言ってって言ったでしょ? どうせもう最後なんだから」
葉月は大きな溜息をこぼしながら、腕と足を組んで背もたれに寄りかかる。
「……葉月の事は本当に好きだった。それは言い寄られたからとかじゃなく本当に……大切だった。だから嘘じゃなくて葉月が高校卒業したら、お母さんに挨拶行って結婚したいって伝えようと思ってたんだ。でも酷い形で裏切っちゃったから……」
「妊娠したなんて言われたら……そりゃ責任取るよね。先生は」
葉月は顔を横に向けて、苛立ちを隠せないまま答える。
「……本当、酷いことをした。葉月にはもう嫌われるのが1番かなって思って……酷い態度をしたね。結局、彼女にも酷い傷を負わせてしまった」
「……本当ばかでお人好しだね」
「そんな事ないよ。そもそも生徒に手を出して、2人の女性を傷付けて、挙げ句全て失って町を出るんだよ。悪人だよ」
間宮は背中を丸め膝に両腕を乗せる。うなだれる様に首を前に出して、痛々しい笑みをこぼす。
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