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秋晴れの気持ちの良い天気であるのに、ボクは今現在コンビニエンスストアで勤務中で、仕事の一環として商品のお菓子を棚に並べている最中、
いい天気だからどこか出かけたいな等と思っていると、
突然聞こえてきた大声で、お菓子の入ったケースからレジへと視線を移した。
「なんで置いてへんねん!」
「申し訳ございません。只今在庫を切らしておりまして。」
「商品も置いてんと店開けんな!なめてんのか!」
「すいません。明日には煙草の入荷の日なので、よろしければこの商品が入荷するか確認させていただきますが。」
「もうええ!潰れろこんな店!」
派手な化粧の中年のお姉さまはそう吐き捨てると店を出て行った。
「だっさ。」
僕の後ろの棚で商品を出していた、同僚のスミゾメさんが失笑混じりに言ったので、肘で背中を突いて制止した。
「ちょっとタチバナさん、仕事中のセクハラやめてもらえます~?」
バックヤードに戻ると、後から戻ってきたスミゾメさんが笑いながら言ってきた。
「表に出てる時にお客さんの悪口はダメ。いつも言われてるでしょ?」
先輩風を吹かせるのもいやだったけど、最低限の注意はする。
「いやだってあのオバハン、いっつも来ていっつも意味不明なキレ方して帰るんですよ?あれもうキレること目的にこの店来てますって。」
「良くないお客さんがいたとしても、悪口を言っていい理由にはならないから。他のお客さんが見たら客層は悪いし店員も悪口言うしでろくでもない店にしか見えなくなるよ。」
「だったらあのオバハン出禁にしましょーよー。店長に言ってくださいよー。」
「ボクにはそんな権限ないよ。」
「いやいや、タチバナさん仕事できるし店長気に入ってますよー。ウチら言ってもガン無視でしょうけどタチバナさんならいけますってー。」
スミゾメさんはやたらフレンドリーというか、歯に衣着せぬ物言いで肝が座っている女の子だ。こういうタイプの人を『ギャル』と言うんだろうかと、
以前本人に聞いたら『そこまでガン攻めじゃないっすわー』と爆笑された。ギャルの定義がよくわからないし、爆笑されたのもよくわからない。
まあ、若い女の子は些細なことでも面白可笑しいんだろう。
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