3・噂

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 美岬はまだふくれっ面のまま言った。  それで怒っていたのか。 「ごめん。でも、なかなか話すきっかけがなくて」 「気をつけなきゃだめだよ。あたしだったからよかったけど、靭先生ファンの子だったら、今ごろ大騒ぎになってたよ」 「うん」  返す言葉もない。 「でもまあ、結果的によかったんじゃない?   あたしに打ち明けることになって。  安心していいよ。口固いのには自信があるから。困ったことがあったら、いつでも相談してよ、ね」  そう言って、やっといつもの笑顔を見せてくれた。  やっぱり、美岬は頼りになる。  ずっとひとりで背負っていた重荷が、ほんの少し軽くなった気がした。 ***   「しっかし、ふたりともポーカー・フェイスだねぇ。目くばせでもするのかと思ってずっと観察してたけど、まったく知らないふりなんだから」  ようやく2時間目も終わり、昼ごはんを食べに学食に向かう途中で美岬が耳打ちしてきた。 「そりゃ、そうだよ。もう、いらない神経使って、疲れはてたよ」 「ねえ、さっきの続き、話してよ。聞きたいこといろいろあるんだから」
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