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「何の話?」
そのとき後ろからぽんと肩を叩かれた。
振りむくと北川が微笑んでいた。
「ああ、北川。何でもないよ。女子トークに割り込むと嫌われるよ」
美岬がそっけなく返す。
「はいはい、失礼しました。ねえ、昼食べに行くんだったら、一緒に行ってもいいかな?」
疑問形で話しつつも、北川は返事を待たずに、ちゃっかり夏瑛の横に並んでいた。
込み合っている学食でなんとか席を見つけて腰を下ろしたとたん、北川が話をはじめた。
「しっかし、沢渡なんて、あんな男、どこがいいんだよ。教室中の女子がぼーっとしてたな。でも顔がいいだけじゃん。ああいうのに限って、中身は最悪だったりするのにな」
そんなことない、と心の中では思いつつも、どうフォローしようかと考えていたら、
「北川さぁ、男の嫉妬は見苦しいよ。あんた、先生のこと、なんにも知らないのに」
と美岬がさりげなく夏瑛の気持ちを代弁してくれた。
「なんだよ。平野も沢渡派かよ。じゃあ、原田さんは?」
「えっ、わ、わたしは」と口ごもっていると
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