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「やっぱ、そう思う? でも、どうしても沢渡先生のことしか目に入らなくて」
美岬はちょっと呆れた顔をした。
「なにそれ。たんなるノロケだよ。まあ、でも、たしかにカッコイイもんねえ。気持ち、わからないでもないけど」
「もちろん、外見に惹かれたところもあったけど、それだけってわけじゃなかったんだよ」
「それじゃあ、好きになったきっかけは?」
「もう、芸能人へのインタヴューじゃないんだから」
と文句を言いつつ、これまで誰にも打ち明けられなかったこともあって、次から次へと話が溢れだしてきて止まらなくなってしまった。
結局、その後、美岬の家に押しかけて、夜通し〝恋話〟に花を咲かせた。
美岬は茶化しながらも、いろいろアドバイスしてくれたり、自分の恋愛遍歴(これもいろいろありすぎてびっくりの連続)を語ってくれて、距離が一挙に縮まった。
ここまで心の開ける友だちができたのは生まれてはじめてだった。
胸の内に抱えるしかなかった思いを友だちと分かち合えるのが、こんなに楽しいとは知らなかった。
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