新しい太陽

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先生は占い屋がそれなりに楽しかったのか、味をしめ新たな業態を練っている。 もちろん先生ひとりでビジネスモデルの構築をするわけがないので吉方がかなりアイデアを出している。これではまるで吉方の店だ。 問題は物件。別に今の先生の家でも店をやるスペースは十分にあるが(そもそも一人暮らしで二階建ては有り余っているように見える)アクセス面で三輪という立地が好かないらしい。新しい物件に住居スペースが確保できそうなら三輪家は手放してもいいらしい。 でもそんな都合の良い物件、そう手に入るか? それより初めて先生の家へ行ってから一年と一日が経って、俺達が真の意味で弟子入りする方が早いかもしれない。 「ならまちに空き町家があったけど、もしかして先生狙ってたりするのかな? 住所、元林院町で餅飯殿商店街から道一本入ったとこっぽいしアクセスは申し分ないよ。」 「オマエくわしいな!!」 「うわっ びっくりした。薫センパイってそんな大きい声出るんやね! 部外者ながら先生の新規事業には興味あるから、そう思ってるとやたらこの辺の空家が目につくようになってん。」 「悔しいわ…俺も空家目につきたい」 先生が今後のビジョンを語ってくださったのはユール祭当日だった。新事業をこの日から始まる新しい太陽に喩えたのだろう。魔術に使うツールを売りその使い方を教える店を近鉄奈良駅から徒歩圏内で開業したいそう。
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