まばたきの間に

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まばたきの間に

 目を閉じ次に開くまでの間に、この世界は(つい)えるだろう。  それでも命あるものは、その使命を全うせんと賢明になって生きるのだ。 カゲロウもセミもヒトも、儚い命を燃やすのだ。  だからせめてあなたに贈ろう。 その目に彩りを。 その耳にねぎらいを。 その心に敬愛を。  まばたきの前夜には、暗闇の中でどうか思い出してほしい。 あなたは決して一人ではないと。  そうすれば目を開いたとき、あなたの目の前には新しい世界が広がっているかも知れない。 全てはまばたきひとつの間。
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