内なるもの 外なるもの

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【メッセージ 2】 (若い男の声)  僕の愛しい君、僕がこの世で一番愛しているフィアンセ。  元気でいてくれているか。早いものだ、君が僕のもとから姿を消してもう、ひと月になる。  君は僕のこのひと月の懊悩が想像できるだろうか。僕は、苦しみ抜いたよ。もちろん、いまだってそうだ。  君は僕との出逢いを覚えているかい。君は僕の取引先の会社の、受付嬢だった。忘れないよ、君に初めて会った日のことは。その目をそらせない君の美しさに、僕は心を奪われて、ぼんやりとしたあまり、その後の仕事でミスを連発し、課長にしこたま怒られたもんだ。だが、そのあと、おずおずと申し出た僕の愛の告白を君は、些か拍子抜けするほどあっさりと、受け入れてくれたね。僕は狂喜乱舞したものさ。  僕たちは、それから仲睦まじく一緒の時間を過ごした。可憐な君と、幾度も甘い接吻を重ねたよな。僕らは愛し合っていた。互いを尊敬し合い、慈しみ合っていた。  そしてそうだ、あのビル火災の数日前のことだ。僕は君にプロポーズしたんだ。すると、即座に君は、大粒のエメラルドが嵌め込まれた指輪を、嬉しそうに左手の薬指に煌めかせてみせたんだよ。あの瞬間を、僕は忘れやしない。否、一生忘れることはないだろう。  どうかあの喜びの続きを、僕にまた与えてはくれまいか。どうか君よ、僕のことを思い出してくれ。  君と添い遂げられる日を、僕はひたすらに、粘り強く、待ち続けている。
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