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「今日から中途採用で働くことになった、石山裕介(いしやまゆうすけ)君だ。色々教えてやってくれ、冬村君」 「はぁ」  冬村真樹(ふゆむらまき)は出社早々、上司から新入社員の教育係を任された。 「よろしくお願いしまっす!」  新入り、石山はニカッと笑う。  石山は切れ長の目をした,高身長のイケメンだった。髪をダークブラウンに染め、小洒落たスーツをそつなく着こなしている。人目を気にして前髪を伸ばし、地味なスーツを着古している冬村とは大違いだった。  石山の爽やかな笑顔に、その場にいた同僚達の視線は男女問わず、釘づけになった。 (……また面倒なことを押し付けられてしまった)  圧倒的な陽キャオーラに、根っからの陰キャ気質である冬村は目眩を起こしそうになった。
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