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こういう時、2回目以降の配達なら、前回配達した時の履歴やメモが残っているから判断に迷うことはないらしい。
嫌なのは、新規の配達先の場合。
今回がその、新規の配達先だった。だから、分からないにしろ、全く手ぶらで引き返すわけにもいかない。
そう腹を括った弟は、建物の中目指して進んだらしい。
草に足を取られながら、暗闇の中スマホのライトだけを頼りに建物に向かって進む。真ん中くらいまで進んだところで、何かを踏んだ。やたら大きい。まるで、人間1人くらいの大きさのような。
スマホライト程度だったので、見えたわけではないけれど、そう思ってしまったらそうとしか考えられない。パニックになった弟は速攻門の外まで引き返した。建物の中に人がいたのかは、分からなかった。
とりあえず、落ち着かなければ。そう思いその住所の周りを無心で一周歩いた。
そこでやっと気がついたらしい。その建物の脇に、よく見ないと分からない位置に細道があって。そこを抜けると、○○荘のちょうど真裏あたりに本来の目的の建物があった。ということに。
弟が勘違いした最初のボロ屋は、まじでただの廃墟だったらしい。
配達先と勘違いしたまま、気合いで中に入らなくて本当に良かったよね。って話。
ちなみに、人のような大きさの踏んだモノですが。これは結局、スマホライトしかなく、暗くて何だったのか分からずじまいだったそう。
本人的には、海岸とかにあるような流木みたいなものだった気がする、とのこと。
都会のど真ん中の空き家なのに、流木とは…?と、疑問に思いもしましたが、まあきっと流木だったのでしょう。
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