水子供養

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水子供養

 正直、これはあまり怖い話じゃない。むしろ、私にとってはちょっと良い話かもしれない。  多分、怖かったのは、私と一緒にこれを体験した人の方だ。  私の家系には、水子がいる。  と言っても、家系規模で言ったら、水子がいたことがある、という人はそう珍しくないような気がする。知っているか、知らされていないか、という違いなだけな気さえする。  一度、友達とそういう話題になった時。その過程はどうあれ、その場にいたうちの何人かの家には水子がいると言っていたから。  私の水子ではないにしろ。私は、その子たちを1番大事にしているし、大事にしたいと思っている。  のでまあ、ずっと。どこかちゃんとした所で一度、水子供養をしたいと思っていたのだ。  当時の私はまあ若かったので、結婚したいなと思って付き合っていた人がいて、その人に一緒に水子供養に行ってもらうことにした。  結構遠方の、水子供養で有名なお寺。  若かったので色々バタついたりしたけれど、なんとか供養してもらうことができた。  住職さんも優しかったし、お寺の敷地も綺麗に整っていて雰囲気が良かった。  供養自体の良し悪しなんて分からないけれど、個人的にはとても良かった。普段滅多に泣かない自分が、思わずほろりと泣けてきちゃう程には心洗われるレベルで良かった。  でも、お寺を出たあたりで、一緒に行った人が「あのお寺なんか変じゃなかった?」と言い出した。
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