Please.

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 「ケイ、後2分だ」  「・・・白ワインが飲みたい」  「ワイン?お気に入りのワイナリーの?」  「ああ・・・スパークリングでもいい」  赤ワインは気分じゃない、ビールは風呂上がりに飲みたいから仕事終わりのランチの時には白ワインがいいとはっきりとリクエストをする慶一朗の肩を撫で、じゃあワインも用意しておこう、ワインと合わせるのだからガーリックオイルでソテーしようかと笑い、後1分と、刻一刻と近づいて来る新年へのカウントダウンを軽やかな口調で始めれば、慶一朗がむくりと起き上がり、先ほどよりはリラックスした様子でリアムの肩に寄りかかる。  自宅以外でこんなにも甘えるように身を寄せてくる恋人など、毎年訪れるカウントダウンよりも貴重な瞬間で、リアムが細い肩に自然と腕を回して抱きしめる。  「マーサのバゲットが食いたい」  「買ってある」  バゲットにエビを載せて食べれば美味いだろうなぁと、明日のランチを想像して涎をたらしそうな勢いで呟くリアムに小さな笑い声を届けた慶一朗は、リアムの腕時計を見る為に手を引き寄せ、後30秒と呟く。  「・・・ケイ、お願いを聞いてくれないか」  「なんだ?」  後30秒で言える願いなら聞いてやると、艶のある笑みを浮かべる慶一朗に目を細めたリアムは、これから先も節目節目にこうして一緒にそばにいたいと、母国語のドイツ語で囁きながら慶一朗の頬を両手で挟んで向かい合う。  「一緒に?」  「Ja.何年経ってもこうして年が明ける瞬間を一緒に過ごしたい。クリスマスもプレゼントを渡したいし、お前の誕生日も一緒に祝いたい」  家庭の事情で幼い頃は誕生日など祝うことがなかったと教えられたが、その分を取り戻すように一緒に祝いたいとリアムが薄い色合いの双眸を見つめつつ続けると、慶一朗の唇が噛み締められるが、その瞬間、仮眠室の窓の外から歓声が微かに聞こえて来て日付が変わった事を知る。
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