Please.

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 カウントダウンが出来なかったと慶一朗が呆然と呟くと年が変わった瞬間に一緒にいられたから問題ないとリアムが笑い、噛み締められた唇に小さな音を立ててキスをする。  「────Frohes neues Jahr,ケイ」  ドイツ語で囁かれる新年おめでとうの言葉に俯いた慶一朗は、己にとってはある意味日本語よりも馴染み深いドイツ語で新年おめでとう、今年もよろしくと返し、大きな掌を己の頬に宛てがって婉然と笑みを浮かべる。  「・・・毎年の誕生日には旅行に行かせろ。それが無理なら模型が欲しい」  慶一朗のその言葉にリアムが一瞬驚くが、口に出されたそれが己の恋人が経験したことのないものや最も手間暇を掛ける趣味である事を思い出し、仕方がないなぁと満更でもない顔で頷く。  「リアム────ダンケ」  「どういたしまして」  仕事と休暇という別々の予定を入れていた自分たちだったが、ひょんなことから職場とはいえ一緒に年が変わる瞬間を過ごせたことに小さく笑みを浮かべるものの、いつまでもこうしていられない事を思い出し、リアムが慶一朗の髪にキスをして立ち上がる。  「・・・午前中で仕事が終わったらランチを食べよう」  それからどうするかはその時に決めようと再度明日の予定を伝えて髪を撫でたリアムに慶一朗が一度口を開くがそのまま閉ざし、このまま一緒にいたい思いを目を閉じる事で断ち切ると、その言葉に頷いてベッドに横になり毛布を肩まで引っ張り上げてリアムに背中を向ける。  そうでもしなければ、いつまでも抱きしめてしまいそうだった。  「後半日、仕事頑張れ、ケイ」  「・・・ああ」  背中を向けた理由を間違えることなく把握しているリアムが同じ気持ちだと伝えるように肩を叩いて仮眠室を出て行く。  その足音を背中で聞き、空調が効きすぎていて寒いと別の理由から寒さを感じている事を認めないような呟きをこぼすと、今度こそ仮眠を取るために目を閉じるのだった。  新しい年を迎えた初日の午後、恋人との約束を守るように早々に帰宅した慶一朗は、自宅の隣で今ではすっかりセカンドハウスになっているリアムの家に転がり込むと、夜勤明けの己をねぎらい、自分たちのための食事の用意を頑張ってくれた恋人の背中を抱き締め、疲労しているはずなのに興奮している事をそっと伝えた後は、互いの腰に手を回しながら上の階のベッドルームに向かい、意識が吹っ飛ぶほどの快感に身を委ねるのだった。
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