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二
「妙子ちゃん、そろそろ休みなよぉ」
「ありがとう」
夜中から患者の手当て等に当たっていた私は、同じ看護婦仲間の時江に束の間の休憩を貰った。
病院の庭の長椅子に座って、水筒の水を飲んだ私は、ふと空を見上げた。
雲一つない瑠璃色の空が一面に広がっていた。
「きれい……」
こんな綺麗な空のどこかで、夫になる裕も頑張って戦っている。そう思うと、私も頑張ろうという力が沸いてきた。
「妙子ちゃん、もう良いのかい? 無理はいけないよ」
病室に戻った私に驚いた時江が、目をおおきくして言った。私は少し胸を張って笑って応えた。
「大丈夫じゃ。だって私は英雄様の妻になる女じゃけん」
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