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さすがにやり過ぎた。足の感覚がないぐらいヘトヘトだ。そんな自分が少し可笑しくて、笑えた。
玄関のドアを開けると、家の中は真っ暗だった。そっか、父さんとアカリさん今日は外で食べてから帰るって言ってたな。
...えりかはもう寝たのかもしれない。
手探りでスイッチをつけるとリビングの明かりがついた瞬間、椅子にかけてある、えりかの淡いピンクのパーカーが目に入った。
引き寄せられようにえりかのパーカーに近づいた。
そっと指で触れた。
まだほのかにあたたかい。指で撫でて、手の平で触って、掴んだ。顔に近づけて匂いを嗅いだ。えりかの匂いだった。
ドックン、心臓が波打ったのを感じた。
このままこの匂いの中で埋もれていたい。
ガタっとどこからか音がして慌てて手を離した。
えりかのパーカーが床に落ちた。
...俺、もうヤバイかもな。えりかに触れたくてしょうがない。
このまま一緒に過ごしていたら、どっかでその一線を越してしまうほどの衝動を感じていた。
それを飛び越えたら、家族には戻れなくなる。
ポケットに入れっぱなしになっていた、名刺を取り出した。...大阪か。その方がいいのかもしれないな。
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