空色

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すぐ夏休みがやってきた。 通常練習に4泊5日で福島で合宿、新潟の夏大会にも参加して、東京に戻ってきても千葉や神奈川のほうまでいって招待試合に参加していた。 公式戦も先輩の試合にも帯同しながら、u13選手権大会も勝ち進めていた。 「空、気をつけろよ。お前が主力なんだから怪我しないようにな。」 「はい。」 「最近のお前は鬼気迫るもんがあるからな。楽に行け、楽に。」 走っていれば、ただあのゴールに向けてシュートを決めればいい。 目の前の相手が重心をうつした瞬間に逆に抜く。線が引いてあるようにシュートコースは見えていた。ゴールキーパーの意識が下に向いて、俺はループでゴールを決めた。 「空、ナイスゴール!!」駆け寄ってくれるチームメイトにハイタッチしたあと、つい姿を探してしまう癖。 来てるはずなんてないんだよな。会わなければ、傷つけることもないし、少しづつ気持ちは風化していくんじゃないかって。 この夏休みが終わったときには、普通に弟でいられるはずだ。
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