空色

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俺は名刺をポケットにしまった。天皇杯に出場するような強豪校に興味がそそられないことはなかったけど、大阪なんか行ったら、えりかと離れちゃうじゃん!! それは、困る。そうじゃなくても、えりかは一段と色気が出てきて、朋也みたいに狙ってくる輩が出てくるかもしれない。 そうなったら、と考えるだけでも体の中にふつふつしたものが湧き上がって、足に力が入る、 ドーーーーン 「おい!空、殺す気か!」俺が蹴ったボールがコーチに当たりそうになって間一髪避けていた。「すんません!」とコーチにペコリと頭を下げた。 そういえば、えりかの様子が最近おかしかった。 リビングのソファーでえりかが何か読んでいたから、こっそり後ろから覗きこんでみたら東京∞クリエイターズだった。 えりかはバレエ一筋で見るとしてもバレエ、聞くとしてもクラシックで、東京∞クリエイターズなんて、えりかと両極端な代物だった。 なんだか嫌な予感がする。
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