空色

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「ね、ね、空って、何が好きなの?」 隣に歩いている女子がやたら話しかけてくる。これに答える意味なんてあんのかな。でも一つしか思いつかなくて「...姉さん。」と答えた。 「空、お姉ちゃん好きなんだ。ウケる。」 俺には何がウケるのか、サッパリ分からなかった。 「めぐみちゃん、めぐみちゃん、俺にも聞いて!」朋也が間に入ってきた。朋也、意外と気が効くじゃねーか。ファインプレーだよ!俺は珍しく朋也を心ん中で褒めた。 「えー、私、空と話したかったのにー。」 「俺はめぐみちゃんと話したいんだよ。」 「え♡」 そのまま2人でどっか行ってくれねーかな。あ、サイフだけ置いといてな。 「空、今度、全国行くんだろ?」代わりに蓮が隣にやってきた。 「ああ」 「すげーよな。」 「先輩たち上手いよ。いつも刺激になるよ。」先輩たちの試合帯同して、最近ちょこちょこ試合にも出させてもらうようになった。 「蓮もセレクション受けたら良かったのに。」 「俺はいいよ。部活で十分楽しいし、上には上がいること早々に思い知らされたから。」 都大会まで出ると上手い奴らがいっぱいいた。蓮はきっとそのときにそう思っちゃったんだろうな。 「俺、蓮とやるサッカー好きだったんだけどな。」蓮はMFで俺がFWでいつも絶妙なパスを出してくれた。 「ああ、40とか50とかになったら考えてやる。」 「なにそれ、引退してんじゃん俺。」 「そういうことだよ。引退したら遊びのサッカーぐらいなら付き合ってやるよ。」 「そのときは、俺も呼んで。」やっちゃんも来て、ニッコリ笑って言った。 うん、なんだかそれはそれで楽しみだな。もう現役で出来ないと思ったら、こいつらとサッカーしよ。3人で話しながら向かっていたら、赤木精肉店が見えてきた。 「空ー!」さっきの、めぐみか、りなか、忘れたけど、後ろから名前を呼んでいた。俺は気にも止めず前を向いて歩いていたら、ピントが合うようにある後ろ姿が目に入った。その後ろ姿は振り返って目が合った。 えりかだった。 少し時間止まったように感じた。えりかがコロッケ屋なんて、珍しい。 ふっと横に目が行くと同じ中学の3年の先輩が座っていた。それを見た瞬間、体の中から色んな感情が込み上がってきた。 えりか、なんでそいつといんの?
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