負け犬

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負け犬

 男女二人の荒い息遣いが、薄暗い寝室に響く。  智穂(ちほ)(れん)が一糸纏わぬ姿のまま、ベッドの上で身体を重ね合わせている。  指を絡めたまま、智穂が蓮の手を口元に引き寄せる。 「見えるところは、やめろよ」  白い歯が、蓮の掌に触れる寸前で止まった。 「せめてこっちにして」  差し出された男性らしい筋肉質な腕は、既に数か所の歯形がついている。  その腕に、智穂が一切躊躇うことなく噛みついた。 「くっ……」  鋭い八重歯が食い込む痛みに、整った顔を(しか)める。 「……ぷはっ」  満足げに、智穂が口元を緩めた。 「やっぱり蓮の体は筋肉があって噛み応えあるね」  上気した肌、とろん蕩けるような瞳と視線が合う。噛まれた痛みも相まって、蓮の興奮は更に増していく。 「後ろ、向いて」  繋がったままだった体を引き抜くと、智穂に後ろ向きになるように促す。特に抵抗することなく四つん這いになり、形のいいお尻を蓮に向けた。  雫が滴るほどに潤んだ秘所に、避妊具をつけたままの杭を押し付ける。 「ん……」  智穂の口から艶っぽい声が漏れる。  ゆっくりと侵入した蓮の分身が、やがて奥まで届く。背中を電撃が這うように快楽が駆け抜けた。 「あうっ……!」  長くしなやかな指を携えた大きな手が、智穂の腰を掴む。 「動くよ……」  言うなり蓮は腰を前後させ、汗ばんだ肌と肌がぶつかり合う。  規則的なリズムを刻みながら、二人が果てるまでストロークは続いた――。
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