”ぽくっ”からの”バビッ” ~秋の野山で収穫の声を聴く~

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ぽくっ、と。 掘り進めた自然薯の先端を折らずに土からはがす。それは穴掘りの苦労が報われる時。それは達成感伴う、身体しびれる非常な快感である。ふかふか黒土の腐葉土から取り出した獲物はざっと80cmぽってり。てこたぁ、それを半径に穴を拡張した事になる。本日、3本目。 陽だまりのなか、秋深い風が冷たく爽やかだ。 数時間ぶりに、地表に上がってみると、目の前では、イノシシ家族が隠しておいた自然薯をぼりぼり喰ろうておった・・・。 ・・・イノシシ、逃げない。 母イノシシでかい。80kg超クラス。普段、人には寄って来ないはず。逆襲されたら、怖い。ウリ坊3匹。縞からすると今年の秋生まれか。 山狩り時着用の、広葉樹林系の軍モノ迷彩服は、着始めてから洗ったことが無い。1週間前から風呂に入らない、歯も磨かない、ヒゲも剃らない。薮が盛り上がった程度にしか感じていないのであろう。自然に優しい配慮の勝利だ。がっ、自然薯、食い散らかしおってからにぃ~の怒りは冷たく静かに発動するのだ。 さて、冷静に判断しつつ、懐から秘密兵器、登場。通称:エレクトリック・ロッド。 釣竿2本を改造し、穂先から電気ショックを与えられる様に配線した、二本一対の電撃棒。餌付けされて、寄ってきちまう野生動物に仕置したり、襲われそうな時に威嚇する為の自警装備だが、仕様は熊逃がしスペックのお手製。転ばぬ先の杖、てなもん。目の前、2m、近い。いけるか?行けるのかぁ~ 結果、母イノシシとウリ坊1匹は、逃げた。 向けてる尻にしっかり配線かぶしてスイッチ・オン。したまではよかったんだが”バビッ”つって、そのまま逃走。残りの2匹に、まとめてかぶしてスイッチ・オン。残りの1匹は狼狽えながらも、母についてった。・・・自然薯はまたほりゃいい。山の神様への貢ぎ物としよう。自然薯、1本残ってる。掘った穴は、バレないように元通り。芋の頭を植えてく事を忘れないでと。 まつたけは来る時に数本拾った。雑きのこも虫食いなしをざっくり。あけびも開き方、頃合のもん、さくっと。むかごも、ざばざは降ってきた。山菜たっぷし。麻袋にはウリ坊2匹。この他に何が必要だ?農産物直売所に出向けば、秋は手頃な出費で勢ぞろいするだろう。 ウリ坊、食べないよ。ショックで寝ているだけだったから。これを、養豚場に売り飛ばして、資金調達だっ、酒だっ酒っ!本日の夕餉は秋満載となることであろう。わぁいっ♪
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