3人が本棚に入れています
本棚に追加
武者小路さんとお喋り
高校の入学式から10日ほどたった、春うららかな部活日和の昼下がり。
ここは、アタシが入学した高校の4階にある音楽準備室前。
アタシは夏子。友達からはナツと呼ばれている。
10日ほど前、高校生になったばかりの15歳で、吹奏楽部に入部届けを出したてのホヤホヤ。
中学から吹奏楽を始めたアタシは、高校でも吹奏楽部に入部することに決めたばかりなのだ。
中学生のとき、アタシは友達から、『顔だけ見れば超最高。でも頭の中は小学校』と言われていた。
要するに、アタシがバカだって言いたいのだ。でも、それって悪口じゃないんだよね。だってアタシは、人に喜んでもらえるバカになりたいんだから!
嗚呼、バカなアタシってばカッコイイ!
さて、そんなアタシのおバカ願望は置いといて——
只今アタシは、音楽準備室前の廊下に突っ立っている。
準備室にある楽器を取り出したいのだが、鍵がかかっているため中に入れないのだ。
新入部員なもんで、こういう時どうしたらいいか、よくわかんないんだよね。
仕方ない、ここは鍵を持っている先輩が現れるのを待つことにしよう。
そんなわけで、アタシと同じ理由で廊下に佇んでいた、同じ新入生の武者小路さんとおしゃべりしながら、アタシは待ち人が来るまでの時間を過ごすことにした。
「ねえ、中学の時、ずっとトランペット吹いてたんでしょ? いいなぁ」
アタシは武者小路さんに向けて話しかけた。
最初のコメントを投稿しよう!