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清風先輩登場
「こ、これは清風先輩! こ、こんにちは!」
少し頬を赤らめている武者小路さんが先輩に挨拶した。
「あ、清風先輩。コンチャっす」
いつも頬を緩めているアタシも先輩に挨拶した。アタシは顔に締まりがないことでも有名なのだ。
「やあ、夏子に篤子。なんだい、君たち。君たちはとても仲がいいんだね。遠くから見てると、まるで愛を語り合っているかのように、ボクには見えたよ」
この人、見た目がどこかの歌劇団の男役のようであるだけでなく、発言の内容も男前なんだよね。
ただ…… 少し天然なところもあるのだが……
「そ、そんな…… 愛だなんて……」
武者小路さんがなにやらモジモジし始めた。また心配になったアタシは武者小路さんに声をかける。
「どうしたの武者小路さん、モジモジしちゃって? あっ、わかった! トイレに行きたいんだ! でもゴメンね。アタシ、ティッシュ持ってないんだ」
「このおバカ! そういうことじゃないでしょ! アナタ本当に小学生じゃないの! ってあれ? わ、私、なんてはしたないことを……」
「いいんだよ、篤子。本音を言い合える関係って素晴らしいと思うよ」
「清風先輩…… なんとお優しい……」
清風先輩は、武者小路さんの扱いを、よく心得ておられるようだ。
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