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内蔵助は積もった雪を踏みしめながら四十五人の前に立った後、皆に檄を飛ばし礼を述べた。
「者共! 守護るべき愛しき者もいるだろう! にも関わらず! 主君の仇討ちの為に己が命を捨てる決意をした皆こそが真の忠臣! 我ら四十七士、主君浅野内匠頭に誓う! 我ら四十七士生まれた年、月、日は違えども! 願わくば同じ年、月、日に死すときを願わん!」
桃園の誓いじゃないか…… それに気がついた者が思わず吹き出す。
尚、翌年の二月四日の同日に主君への仇討ちは認められず、四十七士(実は一人逃亡で四十六人)全員同時切腹になるために誓いは守られてしまう。殆どの者がそうなるとは微塵も思っていない……
「では、参るぞ!」
四十七士は士官に向かって雪が積もった白き道を踏みしめ、吉良上野介の邸宅へと向かうのであった。
元禄十五年十二月十四日、討ち入り前夜の出来事である……
おわり
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