プロローグ

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プロローグ

 桜の花が散る。強い風と共に多くの花びらがくるくる舞うと、桜のカーテンで隠されて君の姿が一瞬見えなくなる。  消えてしまったのではないかと不安になる。  再び姿を見せてくれて僕は安堵する。  落ちていった花びらが造り上げたピンク色の絨毯。とても綺麗で魅力的だったのでそこにぴょんと移動した。黒く艶やかな僕の身体とその絨毯の色はきっと相性が良いと思う。  フワリと花びらが頭の上に乗った。  ブルンブルンと小刻みに身体を揺らして落とした。  僕は美味しそうで儚そうな、その花びらをひとつくちばしに咥えた。ピンク色が大好きな君へ。  翼を広げ、桜の絨毯から足をトンと離した。とても桜にお似合いな空色と、純粋そうな白色で描かれた水彩画のような空に向かって。  見ていた桜の木が「いってらっしゃい」と微笑んでくれた。  僕は今、カラス。
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