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都梨子が発狂する理由
ここは喫茶交差点。
あの世とこの世の境目にあり、様々な時代に生きる人々が出会って別れる不思議な店。
時が違えば文化も言葉も異なる。
ここで働くにはそれなりに知識が必要ってことだ。
今日も私は裁判所から送られた手紙に発狂した。
「なんなんだよー、これー!わかるか馬鹿野郎!」
いつもたくさん届けられる手紙から最初に読む1つを取る。
それが読めるものか読めないものかによって私の気分が変わる。
平安時代の言葉から、漢詩やらあらゆるものがぶわっと私に襲い掛かってきた。
「黙れ都梨子」
相棒の蔦子の雷が落ちる。
げんこつを受けた私はしばらくうーうーと唸って床を転がっていた。
「だってー、なんでこの大事な書類は現代語訳されてないのかな。こういうものこそ、しっかりしないとダメでしょう? とんでもない誤解して仕事に支障でたら大変なことになるよ」
「お前なあ……。うちらは様々な時代の人を相手にしてるから、言葉も変わるって何度も先代から言われているだろう? だからこそ、ちゃんとその時代の言葉に慣れるようにそうしているって毎回のお約束みたいに俺に説明させんなばか野郎」
「うえーーーーーーん」
蔦子に説教されながら今日も頑張って手紙を読む。
辞典を使って読みやすくし、ようやく理解できた。
古典の授業が嫌いな人なら絶対、私の仕事をしようとは思わないだろう。
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