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汚れアイ 17
17
「天、もう俺、無理!…肉でも食わねぇと出るもんも出ないっ!」
俺は燕さんの立派なアレを咥えながら上目遣いに見つめる。
「あのなぁ、そんな可愛い顔したってコイツは生理現象!」
「16歳差がこんな所で響くなんてね」
チュッと一物の先端にキスをして、ベッドに転がった。
隣の燕さんは前髪をかき上げながら胡座をかく。
「いや、十分俺は頑張った!年の割にも!男としても!ハァ〜10代にセッ.クスなんて教えるもんじゃないな。朝から晩までやったって足りねぇじゃん。」
「…嫌ですか?そんな俺は」
プッと膨れて足をパタパタさせる。
燕さんは肩を竦めバスローブを羽織りタバコに火を付けた。
「好きな相手がエロいなんて嫌なわけ無いだろ…ただ、おまえが満足しないんじゃ…なぁ?」
困った顔で煙りを吐き出す。
「なぁ…って…何?」
「捨てられんのは俺だなぁって思ってただけ。フフ」
顔をクシャっとさせて笑う横顔が素敵だった。
「捨てないで…って甘えていいですよ」
燕さんはガラス張りの夜景からこちらに視線を移し、ビックリした顔をした。
「ハハッ…天ちゃん…やっぱおまえ最高だな」
ベッドまで来て、寝転ぶ俺の髪をクシャクシャと撫でた。
それから、二人でシャワーを浴びて、ベッドに入った。
沢山身体を重ねたから、俺はかなり眠たかったんだけど、初めて燕さんの側で添い寝をした日の事を思い出していた。
情事の最中…自分の事を告白して行く彼は、まだ母親を愛し、庵司を思っていた。
そして今も光の上を歩く弟と、母や自分を捨てた父親を憎んでいる。
俺に告白したからと言って…そんなに簡単に解消するとは思えない。
また…燕さんを悪夢が襲うなら…俺に何が出来るだろう。
「燕さん…」
「何だ?」
「抱っこしていい?」
「…は?抱っこ?」
「うん…俺、燕さんを抱っこして寝たい。」
燕さんはジッと俺を見つめて、苦笑いする。
例の寂しい顔だ。
ゴソゴソと燕さんにピッタリ近づいて、頭を胸元に引き寄せた。
「あのね…燕さんは一人じゃないよ。」
「ハハ、何だよ急に」
「店長も、雪乃さんも…めちゃくちゃ燕さんが好きだもん。…燕さんが寂しい顔するの…みんな知ってる。心配してるよ!多分、榊さんだって同じだよ。…俺も…あんたが好きだしさ…だからっ!寂しい顔しなくていいんだよ。」
「…おまえと居ると…俺には何も悪い事は起きなかったんじゃないかって思える。今も母さんが居て、庵司は雪乃と笑ってる。圭介の愚痴を聞いて…榊のBARで酔い潰れる。…側におまえが居る。何もかも…初めから壊れてなかったみたいに…」
俺は燕さんの頭を引き寄せ髪に口づけた。
「今も…何も壊れてない。大丈夫」
「…あぁ…そうかも知れないな。」
燕さんの腕が俺の腰に回る。
そのまま彼は静かな寝息を立てた。
店長が好き。
その気持ちに嘘はない。
だけど、この人の事を考えると、胸がずっと苦しい。
どうしてだろう
時間なんて、知り合ってずっとうんと短いのに…
燕さんを…一人にしたくない。
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